身近なアートスポット 武蔵野美術大学 その2
ムサビのアクティブラーニング・ワークショップ発表会に潜入
武蔵野美術大学=ムサビってなんかすごい!と、芸術祭に行って遅ればせながら、ムサビファンになった私。
ムサビ生って普段どんなことをやってるの?と興味を持っていたところ、
「ムサビのアクティブラーニング・ワークショップの発表会」があると聞きつけて、話を聞きに行ってきました。
アクティブラーニングとは、教員が一方的に学生に何かを教えるのではなく、
学生たちが主体的に仲間と考えながら課題を解決する方法。
数年後には義務教育に導入されるそうですが、ムサビでは、昔から学科、学年の枠を超えて、
様々な場所や地域で数多くのワークショップを実施しているそうです。
皆さんも「黒板ジャック」という言葉を聞いたことあるのでは?
ある朝突然子どもが学校に来てみると、ムサビ生が内緒で描いた見たこともないすごい絵が黒板に描かれていて驚かすというもの。
子どもたちの「日常」を「非日常」に変えるプロジェクトです。
ムサビでは黒板ジャックのみならず、毎年様々なワークショップが学生たちの手によって自主的に行われているそうで、
今回はその中で行われた33の事例を10分間という時間の中で凝縮して発表していました。
海外まで行ってアートを発信するムサビ生たちですが、ムサビのおひざ元、
小平市では一番多いワークショップが開催されました。
小平市に住んでいれば、一番出会える確率が高そうですね!
武蔵野美術大学の職員の方によると、ワークショップを行うと
「ある課題に対して、いろいろなやり方考え方があるんだな、こんなことをしていんだ!と気づき、
なんとなく自分の中にある制限を解除することがある」そうです。
なるほど!ワークショップを行うことは、学生さんが一方向的に何かを教えに行くのではなく、
やる側も、受け入れる側もお互いに何か気づきがあったり、お互い気づかないで持っている固定概念的なものを解き放つ効果があるんですね。
沢山の発表がある中で、私が同じ年齢の子どもがいる親として興味を持ったのは「保育園美術館」の発表でした。
保育園美術館ってなんだ?
これは、芸術文化学科4年の学生さんが卒業研究の一環として、「保育所保育をより充実させるために、美術館等外側からの有効なアプローチができないか?」という研究のため、小平市内の保育園で開催したワークショップでした。
内容としては、保育園に美術館の作品を持ち込んで、実際に子どもたちに鑑賞してもらうというもの。
美術館って、静かにしなくてはいけないし、触っちゃいけないし、小さい子どもを持つ親にとってなんとなく一番遠くなる気がしませんか?
だからこそ、ムサビ生の方々は、出展作品を園長先生と何度も打ち合わせをして
① 触れることができるもの
② 子どもにとってインパクトがあるもの
という2つの希望をいただき、その条件を兼ね備えた作品をリサーチ、作家へ依頼し、事前に鑑賞サポートの研修も受け、次の3つの作品を展示することにしました。
①「くろにんにく」という彫刻作品で、つるつるとした表面と手触りが特徴
②「羊の木」という絵で高さと幅が2m近くあるインパクトのある作品
③「くらやみのおともだち」子どもにとってなじみのある折り紙を使った、
今回の発起人の岡さんが自ら子どもたちのために制作した絵本
私も写真を見るだけで子どもたちがワクワクするような作品だなーと思いました。
当日は各作品に2名ずつ学生スタッフをおき、子ども達とコミュニケーションを取りながらサポートをしました。
今回のテーマが「触って楽しむ」だったので、
「触っていいよ!」という言葉が子どもたちにとって大きな刺激になり、
普段は触れないような作品を手元にもってきてじっくりと観察したり、
「羊の木」の絵はサイズが大きいので、体を伸ばして上の方を触ったり、
指で木の部分を触って迷路のように楽しんだり、見ていくうちに「絵の具が垂れているね!」とか
「でこぼこがあるね!」など沢山のことに気づき質問したり、お話ししたりしていたそうです。
「くろにんにく」は、年齢による楽しみ方の差が最も顕著で、
低年齢児は映り込みを見たり、指先で触ったりし、
4歳児は触り方もダイナミックになり、裏返したり、においを嗅いだり、素材や作り方による質問も沢山出たそう。
保育園の先生達も今回のワークショップを大変評価され、
今後もまた何か連携してやって欲しいと言われたそうです。
生の芸術作品に触れられる保育園なんて素敵!私もそんな保育園入れたいな~と思いました。
出展した作家である学生さんたちも、「乳幼児に作品を見てもらう貴重な体験、作品に触れてもらうことは嬉しい。」とか、
「自分の作品が子どもも楽しめる作品だと実感して、感慨深い気持ち」など、沢山の気づきを得たようです。
美術作品って子どもにはまだ難しいし、理解できないだろうなと、私は勝手に思い込んでいたのですが、
こうやって見たことにないものを触って見せたり、作家の方に直に作り方や描き方などの生の声を聞くだけでも、
子ども達には大きな刺激になるでしょうし、新しい扉を開くきっかけになるんだろうなと改めて気づきました。
まさにワークショップの効果!!
企画者の学生さんもおっしゃっていましたが、こういった試みが
いろいろな保育園や幼稚園に広がっていくといいなと親の目線からも思いました。
その他にも発表会では小平市十二小学校の生徒とムサビ生と「新たな小平」を創作するプロジェクトや、
小平第六中学校の学生と地域を巻き込み巨大な看板を作るプロジェクト
など沢山の発表がありました。
興味がある方はこちらにも紹介が載っています。
ムサビワークショップ発表会2016
http://www.musabi.ac.jp/topics/20161007_03_01/
発表会を通して、子どもたちが幼いうちから芸術を身近に感ることで、自由に表現することを楽しみ、
より豊かな人生を送れるといいなと改めて思いました。
これからお子さんが通う学校にもムサビ生がやってくるかも?!
→Part1はこちら
詳細情報
名称 | 武蔵野美術大学 |
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地図 | |
住所 | 〒187-8505 小平市小川町1-736 |
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