花小金井駅南口から小平方面へ徒歩7分、グリーンロードこと狭山・境緑道（多摩湖自転車歩行者道路）沿いをほんの数歩、外れたところにある大きな窓の一軒家。

「La Rose Blanche（ラ・ローズ・ブランシュ）」は、こういうタイプのカフェにしては珍しく朝9時からオープンしています。

店主は、帽子作家でもある森下美哉子さん。

カフェの営業は木～月曜日の週５日、あとの２日でネット販売する帽子を作っているそうです。

↑　フランス語で「白いバラ」を意味するその店名の通り、バラの季節にはエントランスのアーチにつるバラが咲き誇るのだとか。

↑　明るい店内からは、グリーンロードの緑が望めます。２階はドライフラワー教室などが開催されているスペース（カフェとは別運営）。

↑　ゆったり過ごしたいときはソファーのあるカウンター席もおすすめ。小さな子連れにも人気。

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これぞ大人の贅沢！ まるで芸術品のようなスイーツ

手の込んだもの、絵になるものが大好きだという森下さんが、季節の素材を使って丁寧に作るケーキやパフェは、芸術作品のような仕上がり。お店のインスタグラムには、まさにインスタ映えする写真が並びます。

「これ、ありますか？」とスマホを片手にやってくるお客様もいるそうですが、残念ながら過去のものは出していないことがほとんど。新作もせいぜい1～２週間の運命だといいます。

「作っている自分が飽きちゃって、次を作りたくなっちゃうんです」

取材時は、栗やぶどうがおいしい時期。

この日のパフェには、洋梨のコンポートや栗の渋皮煮、３種（洋梨・栗・チョコレート）のアイス、焼き菓子など、手間暇かけた15アイテムがバランスよくグラスに盛りつけられていました。

“フルールドサレ”という岩塩を効かせた塩パイや塩チョコが口休めになり、甘すぎない大人の味。最後は甘さを最大限に抑えた、赤ワインとピオーネのゼリーで後味さっぱり。

グラスのサイズは350㎖と、けっこうなボリュームですが、最後まで飽きることなく食べ進めることができました。

↑　「次は何が出てくるんだろう？」と玉手箱を開けるみたいにワクワクする楽しいパフェは900円（税別）。新作のアイデアがひらめくと、すぐにでも作りたくなるという森下さん。思いついたことは、スケッチブックに書き留めます。

↑　パフェにも添えられていた栗チョコは、栗の季節の大人気メニュー。チョコレートテリーヌ、アイスクリームを添えたプレートで提供。ケーキやスイーツとドリンクのセットは846円（税別）。

人気No.1は看板メニューの「レモンチーズケーキ」。

名前だけ聞くと、レモンの輪切りやレモンソースなどがかかっているレアチーズを想像していましたが、出てきたケーキの見た目はシンプルなスフレ風。ひと口食べると、レモンの酸っぱさが口の中に広がりました。予想外の酸味がクセになる‼

「一般的なレモンのケーキは、砂糖が多すぎて酸っぱくない。ギリギリの量まで砂糖を減らすことで酸味を際立たせ、トロっとした食感は残る、絶妙なバランスで焼き上げています」

↑　熱狂的なリピーターが多いレモンチーズケーキ。テイクアウトの要望も多く、今後は通販での販売も計画中。

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ひらめきと行動力で、手探りで始めたカフェ

森下さんがこのお店を始めたのは５年前。それまでは飲食店で働いたことも、お菓子作りの経験もありませんでした。

子育てと帽子の仕事を両立、さらに介護もあり、ホッとできる場所がないと感じていたあるとき、そんな場所を作れたらいいのではとひらめきます。

「カフェをやろう！」という思いつきを話した友人から、「なら、いいところがあるよ！」と教えられたのがこの場所。ちょうど、以前の経営者がカフェをたたむタイミングで次の利用者を探していたところでした。

すべて手探りながら、「やりたいことは全部やる！」という行動力で、お店づくりがスタートしました。

↑　お菓子作りの基本は、様々な資料を読んで独学で習得。何度も作って、調整を重ね、イメージする理想の味に近づけます。

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やりたいことに前向きな生き方に、人生のヒントが

お店の営業日は午前３時に起床し、自転車で出勤する森下さん。

予約が入るなどで忙しい日はご主人がサポートしますが、基本的にお店は1人で切り盛り。

スイーツは常時４～５種類、日替わりランチの仕込みもあります。

↑　ランチは11時から提供。キッシュ、サラダのほか、手の込んだ５種盛りのワンプレートが日替わりで955円（ドリンクセット1128円、ケーキセット1537円、いずれも税別）。
定休日には、帽子作家としての制作活動。そして家庭では、中学・高校生の２人の娘の母。さらに、近所に住む義母の介護も続いています。

目が回るような忙しさですが、「退屈しなくていいですよ。お店の仕事は自分が好きでやっていることだから、なんとかなります」と軽やかな笑顔。そのパワーの秘訣は「１日６～７時間は必ず寝ること」、そして「嫌なことはすぐ忘れること」だとか。

前向きでパワフルな森下さん、いつのまにかお客様から悩みを相談されていることがあるというのもうなずけます。

——落ち込むときは、疲れて調子が悪いからだと体調のせいにする。

——悩んでいたら、まずは寝て、朝考える。そのほうが物事をよい方向へ考えられるから。

——嫌だと思ったことを何度も口にしない。だって何度も嫌なことが起きたような気がしちゃうでしょ。

——腹の立つこともあるけど、家の中はいつも明るく、楽しく！ギスギスしていたらつまらない。

取材中も、人生をよりよく、楽しく過ごすヒントをたくさんうかがえました。

子連れで一息つくのもよし、ひとりでゆったりと過ごすのものよし。

何かに思い悩んだり、煮詰まったりしたときは、スイーツが癒してくれる。

この隠れ家カフェで過ごす時間はきっと、いい気分転換になるはずです。