むさし保育園【認証保育所】
ここは本当に小平?別荘のような環境
西武拝島線・多摩湖線萩山駅、「元気村」の近くにあるむさし保育園。
国立精神・神経医療研究センターの敷地内にあります。
取材に向かった13時過ぎ、ちょうどお昼寝の時間だったこともあり、あたりは静寂に包まれていて、木々のそよぐ音、鳥のさえずりが響いていました。林の中に迷い込んだような…別荘に来たのかと錯覚するほどでした。
「茶色い壁に緑の屋根です」と建物の目印を教えてくださったのは、行きも帰りも迷う方が多いからなのだそう。
木々に囲まれた園舎。
今回取材に応じてくださったのは、園長の河野(かわの)先生と主任の中村先生。
明るい笑顔が印象的な、むさし歴の長いお二人です。
病院関係者の保育園なの?
通りに面していないので、名前は聞いたことがあっても見たことがない…病院関係者の保育園なのかな?と小平に長く住む筆者でもそう思っていました。
1967年、国立病院の院内保育所から始まったむさし保育園には、50年あまりの歴史があります。最初は病院関係者の子どもたちのための園でしたが、ほどなくして地域にも開かれた保育所になり、2010年、国立病院が独立行政法人に組織移行化されるタイミングでNPO法人として独立し、東京都の認証保育所に。通常は民間委託に移行するのがほとんどで、独立するというのは全国でも例がないといいます。子どものために環境を変えたくない先生方や当時の保護者のこの園に対する熱意が伺えます。
そのような経緯が影響しているのか、「保護者が子どものため、園のためと協力的で助かっているんです」と河野先生。保育園では珍しく父母の会の活動が盛んで、無理のない範囲で参加されているとか。
現在では、2区8市からと幅広い地域の子が通っていますが、半数以上は地元の子だそうです。
すべてが自然体 「わざわざ」する必要なし
教育方針として異年齢保育をかかげなくとも、広い園庭で一緒に遊ぶので、大きい子は自然と小さい子の面倒をみるよう。小さい子は年長児にあこがれ、それに倣い成長します。
また、敷地が広く、園庭の他にグラウンドやつき山、畑、林のような木々…わざわざ外に散歩に出る必要がないくらいの自然に囲まれているので、外へ行くのは電車を見に行くときくらいだとか。
そんな恵まれた敷地では、四季折々、自然を相手にした遊びが繰り広げられます。好きなだけ花を摘み、落ち葉を拾い、思い切り水遊び。今では貴重な焚き火の体験やどろんこ遊び、雪遊びも思いっきりします。
先生いわく「自然を相手に遊んでいると、飽きたなあと思う頃に季節が移り変わり、また新しい遊びができるのよ」。
遊びは季節が教えてくれる−−−今の時代にはとてもぜいたくな環境です。
食育も自然体。敷地内で栽培した野菜…大根やトマトといった一般的なものから、びわ・夏みかん・柿などの果物、のびる・つくし・ふきのとうといった野草まで、給食で楽しみます。夏はグリーンカーテンのゴーヤも炒めてよく食べるとか。収穫した柿は干し柿に、梅はジュースにして夏場に飲みます。さつまいもは、収穫量が多いので、病院関係者におすそわけするほど。
給食室は、園舎の真ん中にあり、子どもたちからよく見えるガラス張り。匂いや音も感じられるので、自然と興味を持つようになります。給食は和食を中心とした献立。誕生日会の時はお赤飯が出るなどお楽しみの行事食も。
敷地内で採った山菜は、天ぷらにしていただきます。
ガラス張りの給食室には、自然とこどもたちが集まります。
盛り上がる個性的なイベント!
遠足や運動会など定番イベントに加え、むさしまつり(バザーや地域交流のを目的とした大人のおまつり)やほいくえんまつり(保育園内の通貨でお店屋さんごっこなど子どものおまつり)があります。
特に園内でのお泊り保育は、みんなが楽しみにしている大イベントです。当日は、畑のじゃがいもを使ったカレー作り(買い物から子どもたちで)、手作りおみこし、キャンプファイヤー、すいかわり、花火、夜のお散歩(宇宙人が出てきていいものをくれる、こわくない肝試し)、金(かな)だらいで露天風呂とメニューが盛りだくさん!お泊り保育の前から、当日着るTシャツを染めたり、おみこしを作ったりと事前準備も楽しみます。
大人気!ツリーハウス
先生方とのお話が終わるころ、お昼寝から起きているはずの子どもたち。静かだな…と思っていたら、おやつの時間でした!この日はお誕生日会だったので行事食。おやつもココア入りのホットケーキにちょっぴり甘いクリーム(特別!)とみかん。
おやつが終わると年長児は園庭にかけだして、一気ににぎやかになりました。
園庭にはジャングルジムや砂場、鉄棒などいろいろな遊具がありますが、子どもたちにお気に入りを聞いてみると「ツリーハウス!」との答え。建築関係の学生の卒業制作を移築した小屋で、10年前まで使用していた旧園舎の素材を屋根に使用しています。かくれんぼ、お店屋さんごっこやおままごとなどにいろいろ使われていました。
子どもたちの想像をかきたてる「ツリーハウス」
お散歩カートの小屋は、病院関係者の手作り。いろいろな人の愛情を感じます。
河野先生の案内で歩いていると
「かわちゃん!これ見て」
子どもたちからお呼びがかかります。先生はみな、希望する呼び名で呼んでもらっているとのこと。保護者からも「かわちゃん」と呼ばれているそうです。親しみやすくて、相談しやすい雰囲気ですね。
園舎だけでなく、人間関係も風通しの良いむさし保育園でした。
前列中央が「かわちゃん」こと園長の河野先生、その後ろが主任の中村先生。
詳細情報
名称 | 特定非営利活動法人むさしっこの会 むさし保育園 ホームページ |
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地図 | |
住所 | 〒187-8551 東京都小平市小川東町4−1−1 |
電話番号 | 042−344−1324 |
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