産前産後のママに寄り添う産後ドゥーラ
「産後ドゥーラ」という言葉を聞いたことがありますか?
ドゥーラとは、「他の女性を支援する経験豊かな女性」というギリシャ語源を持つ言葉で、産後ドゥーラは産前産後の母親に寄り添い、家事や育児をサポートしてくれる人のこと。
2012年創立の一般社団法人ドゥーラ協会で養成・認定を受けた産後ドゥーラが全国で活躍しています。
私が産後ドゥーラのことを知ったのは、友人が産後ドゥーラとして活躍していたからでした。
そして第二子の出産時に、実際にお世話になりました。
ここでは私が実際にお世話になった佐藤ゆうさんのお話を交えて、産後ドゥーラの活動を紹介したいと思います。
♦♦産後ドゥーラ 佐藤ゆうさん♦♦
↑佐藤ゆうさん 2022年に小平へ越してきました。
佐藤さんは1男のお母さん。
中野区に住んでいた時に産後ドゥーラのことを知ったそうです。
もともと精神保健福祉士のお仕事をしていた佐藤さん。
産後、ご自身は育児が大変な中でも楽しみを見出すことができていました。しかし、虐待などの子どもに関する悲しいニュースを聞いては心を痛めていたそう。精神保健福祉士のスキルを活かして、何か子育て中のママや子どものためにできることはないかと考えるようになりました。
そんな時にご友人の誘いを受け、産後ドゥーラの講座を受講することにしたそうです。
「講座では赤ちゃんの発達や病気、お世話の仕方、虐待、事故防止など赤ちゃんの事はもちろん、ママの置かれた環境、産前産後の心、家庭の現状、ケアといった親側の事も学びます。上の子対応についても学びます。
調理はもちろんのこと、ワークショップでロールプレイングをして相手の話を聞く側の心得を学んだりもします」
こうした講座、試験をクリアして認定され、産後ドゥーラとしての活動を始められた佐藤さん。
当初は産後ドゥーラの仕事が自分にはできるか、大丈夫かと、緊張していました。
しかし、実際にやってみたら楽しかったとのこと。
「赤ちゃんの成長、日々の様子を見ては、すごいなぁと毎回感動しています。そんな姿を見せてもらえて幸せです。
また、赤ちゃんだけでなく、1人目の時からサポートしていたママ・パパが2人目の時にたくましく成長している姿を見られるのも頼もしく感じます。
家庭の状況も悩みも家庭の数だけあるので、一緒に伴走していけたらいいなと思っています」
♦♦私が産後ドゥーラを利用しようと思った理由♦♦
私は第一子の時は里帰り出産し、1ヶ月半ほどしてから小平の自宅に戻りました。しかし、夫は平日出勤、家事育児はほぼ1人でやることに。
当時の私は「育児が楽しい」、「赤ちゃんを一日中見ていても飽きない」と言う人の気持ちが分かりませんでした。
どうして泣いているのか分からない。
母親なのに何もできない。
赤ちゃんはかわいいけど、私だっておなかは空くしご飯は食べたい。それに洗濯・掃除とか、やりたいこと・やることはいっぱい。なのに、ずっと一緒にいたらいつやればいいの?
そんなふうに思っていました。そして気づかぬうちに、産後うつになっていたのかなと今になって思います。
第二子の時は上の子が幼稚園の年長ということもあり、幼稚園を休ませずに通わせたかったので里帰り出産という選択肢はありませんでした。
ただ、第一子の時に一人で抱え込みすぎたと感じていたので、今度は周りのサポートを受けて産後を過ごしたいと考え、早い段階から産後ドゥーラの方を探していました。
私が佐藤さんにサポート依頼をしたのは妊娠5ヶ月頃。
一度サポート内容のプランニングということでお会いし、退院してすぐ、サポートしてもらうことになりまでした。
♦♦赤ちゃんのお世話から家事までなんでもやってくれます♦♦
佐藤さんには週2回、1日2~3時間で、私の産後の1ヶ月健診が終わるまで赤ちゃんの沐浴と調理を中心にお願いしていました。
初回のサポートの時、パンパンだった冷蔵庫の野菜室が、その日のサポート終了時には底が見えるほどになっていました。
あの時のすっきり感、さすがすごい!と思った事は忘れられません。
↑家にある食材を自由に使ってもらい、3時間のサポート時間内で作ってくれたお料理の品々
また、上の子のリクエストメニューを作ってくれたこともあり、子どもも喜んでいました。
↑汁物も作ってくれます。自分が作ったことのない味付けや組み合わせのお料理は、とても参考になりました。私の日々の食事作りに活きています。
沐浴については、病院ではDVD鑑賞による指導だけだったので、実際に沐浴してもらうことで、やり方を思い出せたのも、ありがたかったです。
↑どんな状況でもやさしく子どもに話しかけてくれ、あっという間に沐浴完了でした。
沐浴以外にも、赤ちゃんの衣類の洗濯や、簡単なお部屋掃除、お風呂掃除をお願いしたこともありました。
佐藤さんにサポートしてもらっている間、私は赤ちゃんのおむつ替えと授乳以外は横になったり、座ったりしていました。
そして、普段できない家事以外のたまった雑用を済ませることもできました。
上の子が家にいる時は、子どもの話し相手をしながら、作業をしてくれました。
下の子が生まれてから、上の子に対して厳しくなっていたので、佐藤さんの受け答えは、「こう返答してあげればいいのかぁ」と、参考になるのもよかったです。
♦♦単発でのサポート依頼もできます♦♦
産後すぐからお願いしたサポートは1か月半ほどで一旦終わりにしました。
しかし、第二子が生後6ヶ月を迎えるころに、夫が長期出張で1週間不在になることがあり、単発で1日だけサポートをお願いしました。
定期的にではなくても、スケジュールが合えばまた同じ方にサポートに来ていただけます。一から説明し直す必要もないのでこちらとしても安心できるしありがたいところ。
その時も調理を中心にお願いしましたが、私が子どものそばを離れる時は、見守ってくれ、様子を見ながら手遊びもしてくれました。
約半年ぶりに会って子どもの成長を見てもらえるのもうれしかったです。
↑手遊びしてくれる佐藤さん
♦♦お母さんに寄り添う存在♦♦
「産後ドゥーラが大切にしていることに、母親に寄り添うということがあります。同性として話を聞いてあげることで、産後うつの防止、メンタルケアにつながればと思っています。
サポートが必要と感じたら、しんどくなる前に、もっと気軽にドゥーラを頼って使ってもらえたらうれしいです。
産前産後の状況も社会状況も変わっていくものなので、これからもアップデートに努め、気負わず利用してもらえる産後ドゥーラになりたいと思っています」
第二子の産後は、いろいろ湧き上がって出てくる母子の体調や気になることを佐藤さんにお話することができ、私の心は軽くなりました。
不安が軽減され、たわいもない会話がリフレッシュにもなり、育児を楽しい、子どもをかわいいと思える余裕が生まれたように感じます。
そして愛情のこもったおいしいご飯に活力をいただき、産後、以前のような悩みはなく過ごせています。
もし産後にワンオペになりそう、頼れる人がいなくて心配、という妊婦さん、体力的・メンタル的な悩みを抱えている・抱えやすいと思っている方は、産後ドゥーラのサポートを選択肢の一つとして参考にしてほしいと思います。
赤ちゃんにとっても周りの家族にとってもママの笑顔に勝るものはありません。
ひとりで抱え込まず、助けを求めることでママにもお子さんにもご家族にも良い風が吹き込みますように。
一般社団法人ドゥーラ協会
佐藤ゆうさんのInstagram
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