手の届く場所での支援を~グリーフサポートこだいら~
グリーフサポートとは
「グリーフサポート」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
もしかしたら、人によってはあまり聞いたことがない言葉かもしれません。
グリーフサポートとは大切な人との死別・離別体験を持つ人を支援すること。
今回は2017年春から小平市で活動を始めている「グリーフサポートこだいら」さんにお話を伺いました。
誰でも参加できる11月からの連続講座についてもご紹介します。
英和辞典で「grief」を調べると「(死別・後悔・絶望などによる)深い悲しみ、悲痛。」とあります。
グリーフサポートこだいら代表の森幸子さんは
「グリーフサポートでのグリーフは日本語でぴったりの言葉が見つからないのだけれど、大切な人との別れを経験したとき人の心には悲しみだけではない様々な感情が湧き起こって、それは後悔や不安だったり、怒りや焦燥感、ときには苦しみを終えホッとするような解放感だったり、一つではないし人それぞれなんだよね」と話してくださいました。
それまで日常的におこなっていた食事をすることや学校に行くことが困難になることもあるそうです。グリーフは病気ではありません。喪失による様々な感情に寄り添うのがグリーフサポートです。
グリーフサポートとの出会い
森さんはお子さん三人が10歳・8歳・1歳のときにお連れ合いを病気で亡くしました。当時海外の友人からグリーフサポートのグループに入ったほうがいいよ、と教えてもらいましたがグリーフサポートの活動に出会ったのはそれから3年後のことでした。
その当時は母親である自分がしっかりしていれば、悲しみから抜け出ていれば子どもたちは自分が支えられると思っていた森さん。サポートが必要なのは自分だと思っていましたが、グリーフサポートのグループにコンタクトを取ったところ「家族全員で来てください」と言われます。
親子で訪れたところ、子どもと大人は別々の部屋でそれぞれの取り組みがありました。
大人はひとり親になったことの悩みや経験を話したり、子どもは自分の想いを口にしたり(話さなくてもよい)、ただ自分のやりたい遊びをしたり。遊ぶときは適切な距離で見守っている大人がいます。秘密が守られたその場所で安心して気持ちを出せることがあるそうです。
子どもにとっても大切な人との別れは大きな悲しみであることに違いはなく、森さんは子どもにも適切なサポートが必要なことを実感しました。
子どもは感情の言語化がまだ難しく、見た目は元気でも思春期になってからやしばらく時間が経ってから影響があらわれることがあるそうです。
その頃は東京に4ヶ所ほどしかなかったグリーフサポートも、今では全国あちこちで20ヶ所以上に増えてきています。
弱っているときは外出もおっくうになります。遠くまで出かけることが大変に感じることもあります。またその一方で地元ではない場所の方が話しやすいという人もいるでしょう。
選択肢は多い方がいい、できれば市町村に一つサポートするシステムがあるといいなと森さんは思っています。
グリーフサポートこだいら(略称:グリこ)代表の森幸子さん
子どもにとって安心安全な場所を
「グリーフの中にいて、同じ言葉でも時には勇気付けられ、時には傷付く言葉があるんだけど何だと思う?」と尋ねられました。
“がんばって” “あなただけじゃないよ” “もっと苦しい人もいるよ”このような言葉だそうです。
落ち込んでいる人に対してつい、口にしてしまいそうな言葉だと思いました。
また無かったことにされること、避けられることも無視されることと同じで悲しいと話されました。
お話を聞いていて私には知らなかったことが沢山ありました。気を遣ってあえてその話に触れない、という経験もありました。
知らなかったことで相手を傷つけることがあります。
グリーフサポートこだいらは子どものためのサポートを目指しています。
講座でお話を聞いた大人が多くいる小平市で安心して子どもが感情を出せる安全な居場所を用意できるよう活動していきたいそうです。
どなたでも参加できます
昨年秋に本場で学びたいと森さんは親子で3ヶ月間ハワイの「Kids Hurt Too Hawaii」の活動に参加し、今年6月にはその「Kids Hurt Too Hawaii」創始者のシンシア・ホワイトさんを招いて小平で講演会を行いました。
この11月からは連続5回講座が開催されます。今回の連続講座は特に初めて「グリーフ」という言葉を耳にする人に向けての講座内容となっており、子どもだけでなく誰しもが経験するグリーフについて、興味のある方でしたら受講できます。連続講座ですが1回だけの参加も大丈夫です。
グリーフの中にいると申し込みのちょっとした手続きややり取りが大変だと感じることも。
そのため受講は事前申し込み不要。広い会場を用意したそうです。
当日時間が取れたら足を運ぶことができます。
講座のプログラムは次のとおりです。
①2017年11月25日(土)
「遺されて、死別を生きる」
講師・西田正弘さん(あしなが育英会東北事務局長)
20年以上遺児たちを支えてきた西田さんのお話には、経験に裏打ちされた支援が生きています。
②2017年12月2日(土)
「子どものグリーフとレジリエンス」
講師・髙橋聡美さん(防衛医科大学校教授)
レジリエンスとは、人間本来が持っている回復する力・防御する力・抵抗する力のことです。
③2017年12月16日(土)
「子どもの自尊感情」
講師・近藤卓さん(日本ウェルネススポーツ大学教授)
自尊感情とは、自分自身を価値あるものと思う感情で、人が健やかに心の成長を遂げるために必要です。
④2018年1月27日(土)
「子ども支援に役立つ行動学入門:ペアレントトレーニングについて」
講師・佐藤利憲さん(福島県立医科大学講師)
保護者だけでなく、教育関係者にも役立つ行動学的な子どもへの関わり方についてのお話です。
⑤2018年2月3日(土)
「あいまいな喪失」
講師・石井千賀子さん(ルーテル学院大学講師)
あいまいな喪失は、残された家族のアイデンティティや役割を脅かす場合があるといわれています。
事前申し込みは不要ですが、お子様連れの場合は参加する日の3日前までにご連絡ください。
一人でも多くの方の参加があり、グリーフへの理解が広がるように私も願っています。
※会場までの道案内は、以下をご覧ください。
(この企画は、高橋聡美研究室のご協力のもと開催されます。)
※記事中の植物の写真は森さんが小平市内で撮影されたものです。
イベント情報
イベント名 | グリこ連続講座「はじめてのグリーフサポート」 |
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主催者 | グリーフサポートこだいら (連絡先:森 m0r1.ykk@gmail.com) |
場所 | ルネサスエレクトロニクス株式会社 武蔵事業所 本館1階大会議室 |
地図 | |
開始時間・終了時間 | 14時~16時(※16時~17時 自由参加の交流会あり) |
対象 | どなたでも。(※お子様連れの場合は参加する日の3日前までにご連絡ください。) |
参加費 | 500円(各回) |
参加方法 | ※1回だけの参加でも大丈夫です。 ※事前申し込みは不要ですがお子様連れの場合は参加する日の3日前までにご連絡ください。 |
内容 | ①2017年11月25日(土) ②2017年12月2日(土) ③2017年12月16日(土) ④2018年1月27日(土) ⑤2018年2月3日(土) |
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