多胎児支援の輪を拡げたい!多胎児サークル「こだついん」
子育ては大変です。
新生児は身体がフニャフニャで、抱っこするのもコツが必要。
頻回の授乳にオムツ替え、夜泣きに細切れ睡眠。
成長して動けるようになると一時も目が離せなくなり、
ほぼ24時間緊張しているような状況が数年続きます。
その大変さは、子育てをしたことのある人なら誰しも経験していることなので、
自分の経験をお互いに話して、共有や共感ができます。
しかしこれが当てはまるのは単胎児のみ。
もし赤ちゃんが双子や三つ子の多胎児だったら…?
抱っこはどうすればいいの?
授乳の方法は?
お風呂はどうやって入れる?
同時に泣いたらどうしたらいい?
単胎児だったら気軽に教えてもらえるような困りごとも、
多胎児の子育ては経験者が少ないため教えてもらえる機会があまりありません。
自治体によっては多胎児家庭へのサポートが充実しているようですが
残念ながら小平市はそうでもない様子…
「ないなら作ろう❗️」と立ち上がったのが
多胎児サークル「こだついん」代表の二上麻里子さん。
7歳、4歳、2歳双子、の4人の男の子を育てながら
パワフルに活動している二上さんにお話を伺いました。
?多胎児育児の過酷さ
二上さんが双子男児を出産したのは2017年。
すでに2人の男の子を育てていた二上さん、
双子育児もなんとかなるだろうと思っていたそうですが、現実は…
「妊娠中は長く入院し、出産後は思っていた以上に過酷でした。
誰かの助けがないと、2人を同時に抱っこすることができないんです」
「困ったことがあって保健師さんに相談しても、保健師さん自身が多胎児を育てた経験がなくて、具体的なアドバイスをもらえないんです」
「外出がとにかく大変。荷物は多いし、双子用ベビーカーは大きくて、バスや電車に乗るのも一苦労。家に閉じこもりがちになります」
「ファミサポを利用したくても、利用登録をしに出かけないといけなくて。『行けないので家に来てもらえませんか?』とお願いしても『来てください』と言われてしまって登録できませんでした」
手探り状態での双子育児は困難の連続だったようです。
「サポートがないなら自分で作ろう」
いつしかそう思うように。
双子ちゃんが1歳を過ぎて、そろそろ何か行動を起こそうかと
考え始めた2018年1月、
愛知県豊田市で「三つ子ちゃん虐待死事件」が起こりました。
母親が、当時生後11ヶ月だった二男を床に叩きつけて死なせてしまった事件です。
他人事ではない。もしかしたら自分も同じことをしていたかもしれない。
事件をきっかけに二上さんは本格的に動き始めました。
?二上さん、動く❗️
保健師さんに協力を仰ぎ、2019年8月に
「ふたごちゃん、みつごちゃん集まれ!」
というイベントを小平市の健康センターで開催。
小平市内外から、17組の双子ちゃんとその家族が
集まりました。
このイベントに参加した人や、
インスタグラムでも呼びかけてメンバーを募り、
9月には多胎児サークル「こだついん」を発足。
さらに10月には、小平市子ども家庭部子育て支援課に
「多胎育児支援策のご提案」として要望書を提出。
他の自治体の事例も挙げながら、わかりやすくまとめられていました。
こういうサポートがあったら、多胎児家庭だけでなく
子育て家庭みんなが楽になるのになぁ、と思いました。
?「こだついん」は出逢いの場
「こだついん」の活動は月に2回。
「双子ママは遠出が大変なので、できるだけいろいろな地域で開催したい」
という思いから、特に場所を定めていません。
これまでに、東部市民センター、小平元気村おがわ東、天神地域センター、小川東第二地域センター、の4箇所で開催されています。
駐車場があって、駅からも比較的行きやすい施設を利用しているとのこと。
今回取材したのは小川東第二地域センターでの開催日でした。
南側の窓が駐車場に面していてそこから出入りできるので、とても利用しやすそう。
秋の開催だったので「どんぐりリースを作ろう」という企画で
5~6組の双子親子と4人の先輩ママが参加していました。
この先輩ママは『ピアサポーター』と呼ばれ、
活動日にはお手伝いをしたり相談を受けたりする
とても大事な存在です。
参加された方からは
「双子ママの知り合いが増えてよかった」
「いろんなノウハウを聞けてよかった」
「ミルク、授乳、お風呂、もらったアドバイスはすぐ実践できて助かる」
「ピアサポーターの存在は大きい」
などの声が聞かれました。
土曜日開催時はパパの参加も多く、
パパ同士が育児相談をしている姿も見られるとのこと。
「ここまでパパの参加が多いサークルも珍しいんじゃないでしょうか」
と嬉しそうに笑う二上さん。
多胎児育児はママ1人では圧倒的に人の手が足りないので
パパが積極的に関わってくれるととても助かるそうです。
?今後のこと
運営は代表の二上さんと2人の幹事が中心となって行なっていますが
全員が双子子育て真っ最中です。
「場所取り、企画、準備、当日の運営、すべて大変です」と二上さん。
しかも幹事の2人は育休中で、2020年4月から復職されると、
現在のような活動は難しくなるそう。
4月からの幹事を引き受けてくれる人を探さないといけないとのこと。
お話しを聞いていたら心配になってしまったのですが
「運営に関しては、今の幹事のお2人がすごく動いてくれるので大丈夫です!それに私は行動力には自信があるんです!」
と、パワフルな返答が。
すでに来年度の構想を練られていて、
日々省エネで生きていきたいと考えるアラフォーの筆者は
ただ驚くばかりでした。
?まわりの人ができること
取材の最後に
「これだけは伝えたい!という思いはありますか?」
と聞いてみました。
二上さんは「多胎児育児の現状を知ってほしい」とのこと。
幹事の1人である北島さんからは
「双子ママ、三つ子ママが近くにいたら助けてあげてほしい」との
言葉がありました。
多胎児育児は、
「あらーかわいいわねー」か「双子は大変そう…」という
端から見た感想やイメージが先行していて
具体的に何が大変なのか、現状は当事者にしかわかりません。
わからないならどうしたらいいのか?
まずできることから関わればいいのではないでしょうか。
例えば、荷物を持つのを手伝うとか
遊び相手になるとか。
ご近所さんだったら、家の中まで入ってお手伝いできるかもしれません。
この記事を読んで下さっている皆さまにも
できることから関わっていただけたらいいな、と思います。
『ピアサポーター』としてお手伝いしてくれる
先輩ママも募集中。
活動日や活動場所については下記ホームページ(ブログ)をご覧ください。