人を育てる美術の魔法 芸術による教育の会 「小平神明教室」
お子さんの習い事を考えた時に、絵を描いたり工作をしたりといった、
身近に感じられる遊びの延長で考えられるのが美術教室ではないでしょうか。
芸術による教育の会「小平神明教室」とは
毎週水曜日、神明神社の森が見える教室では、幼稚園児から中学生の子どもたちが、
絵具で絵を描いたり、工作をしたりと、思い思いの作品をつくっています。
先生達は歩き回りながら、
「それなあに?」「面白い!!」「素敵な色だね」と話しかけ、
子どもたちも「見て見て!」「これなんだ?」「自分の作品発表して!」と楽しそうな声が響きます。
これが約20年間続いている「芸術による教育の会」の美術教室の一つ「小平神明教室」です。
「芸術による教育の会」は、63年も前(1954年)に佐藤 惠一(造形作家・画家)・かよこご夫婦が
創立した会です。
「芸術」は、それまで「児童教育」まで結びつけて考えられていませんでしたが、
心理学的観点から捉えたときに子どもたちの成長に非常に重要な役割を果たしているということを感じ、
この会を設立。
今では、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏において97教室(2017年1月時点)あり、
約70名の先生たちがカリキュラムを作ったり教えたりしています。
最近では、ウェブ教室でも授業が展開されているそうです。
「芸術による教育の会」の美術教室には大きな3つの特色があります。
先生なのに教えない?!
先生は、現役のアーティストや現在も絵を描き続けている人、
美術のプロフェッショナルが教えるというのが決まりだそう。
教育者として絵を教えるのではなく、「絵を描く対等な立場」、「共感できる存在」
としてとしてそこにいることを大切にしています。
「先生」というよりは、少し大きなお兄さん、お姉さんという雰囲気。
神明教室担当の村松佑樹先生も、美大を卒業し、教室以外の時間は作品を作り続けている
現役のアーティスト。小学生クラスのみんなからは「ゆうきマン!」と親しみをこめて呼ばれています。
その子の目線を大切に
幼稚園児クラスを見学していたときのこと。遅れてきた一人の子が
次の制作過程に移らずにただひたすらのりを画用紙に塗っていました。
私は、「次の過程が分からないのかな?」と思い「次は絵を描くみたいだよ」とその子に伝えてしまったのですが、先生たちはその子の近くでニコニコとしているだけで、何も手出しをせず、次の過程に誘導しようともしていませんでした。
後から気づいたのはのりを塗るという作業を楽しんでいた彼女を見守っていたんだということでした。
「子供たちは基本的には表現したいと思っていますが、知識が入ってくると
『正解』や大人が喜ぶということを描こうとしてしまいます。それも大事ではあるのですが、
美術教室ではやりたいことをどんどんできる環境にしたいなと思っています。」と村松先生
親としては、早く上手な絵を描けることを期待してしまいがちですが、芸術による教育の会では、
「背伸びはさせないで、一つ一つの発達段階のプロセスをいかに楽しむか。
結果ではなく、その子の成長の過程をみる」ということをとても大切にしているそうです。
子どもの心を伝えてくれます
神明教室では、最後に、制作物の説明と、どのような心理的な狙いがあるのかを
先生から教えてもらえる時間があります。
例えば、新学期初めての回では、絵具で自由に絵を描くことがテーマでした。
新しい環境になり、子ども達もいろいろな複雑な気持ちがあるため、
自分の気持ちを吐き出すという狙いがあったそうです。
なぜ、解説の時間を設けたのかを聞いてみると、
先生は、「教室では、子どもが描く絵や作品を通訳して、代わりに気持ちを伝えるというコミュニケーションを大切にしています。
一週間に一度ですが、一緒に寄り添っていくお手伝いを少しでもできたらなと思っています。」と謙虚におっしゃっていました。実際に先生に質問すると、今日自分の子どもが制作した作品を見て、どんな感情を込めているのかを伝えてくれ、先生たちが美術を通して私たち親のこともサポートしてくれているという安心感があります。
夢のアトリエ
最後に、今後教室をどうしていきたいかをお聞きしました。
「先生が用意したものを作るだけではなく、美術大学のように、子ども達も大人も「アーティスト」というお互い対等な立場で自由に作品を作るアトリエにしたいんです。
居場所を共有し、休憩時間に「それいいね!」とお互いの作品を見ながらコミュニケーションをとるような空間を作るのが夢です!」
お話を伺ってもうこの教室の雰囲気自体が夢のアトリエなので、
先生の夢が実現する日はそう遠くないかもしれません。
教室を幼稚園から始めて、小学校、中学校と通われている生徒さんもいるとのこと。
先生は、『美術の力は素晴らしく、自ら何かを教えなくても、
子どもたちは自然にこの教室でいろいろなものを吐き出し、日々の生活をリセットする助けになっている』と
感じているそう。
この場所は、子ども達にとって美術と触れ合うことで、
自分がありのままで居られる「特別な場所」になっているのですね。
芸術による教室の会「小平神明教室」では、随時生徒さんを募集しており、体験レッスンもあります。
ご興味がある方は、下記事務局の連絡先にお問い合わせください。
(神明幼稚園の児童でなくても参加可能です。)
通われるのが大変な方や小さなお子さんがいらっしゃる方はウェブでのお教室もあるそうです。
お子さんに美術の魔法、一度体験させてみませんか?
詳細情報
名称 | 芸術による教育の会 小平神明教室 ホームページ メール |
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地図 | |
電話番号 | 03-3718-4615 |
FAX番号 | 03-3718-4622 |
営業(開業)時間 | 芸術による教育の会事務局 問い合わせ受付 平日 11:00~18:00 *祝祭日・お盆・年末年始のぞく |
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