【移転】ハンドメイド作家と買い手をつなぐ場所。
クレープとハンドメイドのお店「ハナコラボ」
※2022年9月、「すごしばハニカム」内に移転しました。最新情報は文末のリンク・Instagramでご確認ください。
西武新宿線・花小金井駅北口徒歩2分、花小金井駅前郵便局の向かいにある青い扉が「ハナコラボ」の目印。ハンドメイド雑貨と、もちもち生地のクレープを販売しているかわいいお店です。
店主の森 楓さんは、「みんなデパート(通称:みんデパ)」主催者の1人。「みんデパ」は小平市内(東部公園やガスミュージアムなど)で年に数回開催されている、ハンドメイド雑貨とおいしいもの、そして音楽が集うデパートのようなイベントです。
2017年にオープンした「ハナコラボ」は、その路面店のような立ち位置も担っています。
↑クレープは現在、テイクアウトのみの販売ですが、外の店舗横スペースに座って食べることもできます。
◆◆◆
ハンドメイド作家30~40人の商品が集結!
雑貨の販売は、作家さんへの棚貸しスタイル。現在、雑貨を置いている作家さんは30~40人ほどで、小さい子どもを抱えたママや、最年少は高校生もいるそうです。
商品は各自でディスプレイしますが、棚の状況やお客様からの反響・オーダーなどは随時、森さんが連絡をとっています。
森さん自身も、かつてはアクセサリーや紙製品(エンボス加工の封筒やオーナメント)を作っていた経験があるそう。だからこそ、作家さんの気持ちに寄り添ったきめ細かい対応ができるのかもしれません。
↑不織布マスクが不足していた時期は毎日大行列で、10名ほどいる布作家さんたちの協力で1日100枚並べても足りなかったとか。今も布マスクの肌触りを求める人や、マスクカバーの需要が多いそう。
↑売れ筋No.1の「さやかばん」は、外布と内布の組み合わせがすべて違う一点もの。軽量で、中身を探しやすい丸底タイプなので、荷物の多いママたちにも使いやすい! 価格帯も2000円台とリーズナブルなので、新作が出るたび購入するリピーターも少なくないとか。
↑年度末にかけて、入園・入学準備グッズも増える時期。レッスンバッグやランドセルカバー、キーケースやパスケースの取り扱いも。
↑作家さんごとの棚のほか、シーズンごとの企画販売も。「雑貨屋さんを作るのが夢だった」という森さんセレクトの、センスあふれる商品が並びます。撮影時(2021年末)には石川県のガラス作家・秋友騰尊さんの「太閤鏡餅」や、刺繍ブローチ作家・松尾容巳子さんの作品が目を引きました。
◆◆◆
「作家さんの売り場を増やしたくて」イベント企画からのスタート
「それまで開催していたイベントのお客様は同世代のママが多かったのですが、お店にはマダム世代も立ち寄ってくれます。イベントのほうが先細りになることもなく、まったく別物として、相乗効果のほうが大きいです」
そう話す森さんは、結婚以来ずっと専業主婦でした。イベントやお店を立ち上げるに至ったのは、「ハンドメイド作家さんの売り場を増やしたい」という想い。とあるママ友の話がきっかけだったといいます。
「子どもが通っていた学校や幼稚園に、ハンドメイド雑貨を作っているママが何人かいて。売る場所やイベントがないという話を聞いたんです。厳密にはあったのですが、友達同士のグループで開催しているような小規模なイベントに途中から参加するのは難しい状況でした。それなら自分たちでやればいいんじゃないかと思ったんです」
ビルの屋上にある、キッチン・テラス付きのプレハブ物件を日借りし、ハンドメイド雑貨を販売するイベント「mon Favori(モン・ファボリ)」を2013年から開催。仲間内だけでなく、売りたい人は誰でも参加できるよう、ブログやSNSで公募。3回目にして500人を集客するまでになりました。
◆
そんなあるとき、共通の友人の紹介で出会ったのが、現在共に「みんデパ」を主催する川里ふみさんでした。
「mon Favoriも場所が手狭になり、外でお祭りみたいにやってみたいと思っていた頃でした。彼女はハンドメイドだけでなくワークショップや音楽ライブを組み合わせたイベントをやっていたので、お互いいっしょに組めばもっと大きなことができると思ったんです」
野外ステージもできそうな花小金井の東部公園に目をつけ、2017年に第1回の「みんデパ」を開催。パパは音楽とお酒も楽しめ、子どもたちはワークショップ、ママはハンドメイド……家族みんなで楽しんでもらえるイベントを目指し、土日のどちらかの開催にしました。
↑2021年12月に新東京自動車教習所で開催された「新東京マルシェ~みんなデパート」で。息の合ったお二人、イベントではお揃いの衣装に身を包みます。
◆◆◆
もちもち生地のクレープ販売を引き継ぐことに!
「みんデパ」開催時のフード屋台に声をかけたお店のひとつが、現在の「ハナコラボ」の場所にあったクレープ屋さんでした。
「イベントが大盛況だったので、『ここでお店をやったら?』とクレープ屋さんが提案してくれて。お店の奥半分を間借りしてハンドメイド雑貨の常設店にしたんです」
クレープ屋さんが移動販売で忙しくなり、常設店の運営から撤退することになったのを機に一念発起し、店舗をすべてハンドメイド雑貨にしました。
ところが……
「『あれ?クレープはなくなっちゃったんですか?』っていうお客様が毎日必ず1人は来るんです(笑)。それならクレープもやろうかと、クレープ屋さんに焼き方を習い、販売を引き継ぐことにしました」
↑注文ごとに生地を焼くもちもちのクレープ生地は今や雑貨に劣らず人気。初めて来店する人や雑貨に縁のない男性も入りやすく、客層が広がったといいます。
↑クレープは300~500円。前身のクレープ店から引き継いだラインナップのほかにオリジナルも。生地は甘すぎず、ポテトサラダやハムチーズサルサなど食事系にもぴったりです。
↑旬のフルーツを使った季節限定メニューも。写真左はイチゴチョコクリーム(500円)、右は贅沢スイートポテト(650円)。
◆◆◆
子育ての先輩として、子育て世代の心にも寄り添う
店舗の2階ではベビーマッサージや子ども向けの英語教室、羊毛フェルト、アイシングクッキーなどのワークショップなどを開催する日も。小さい子が大好きで「赤ちゃん連れの方が来る日はうれしくてたまらない。子育て世代がうらやましい!」と笑う森さん。
イベントを始めた8年前はまだ小さかったお子さんたちも大学生と中学生になりましたが、「おっさんみたいに大きくなっても、反抗期になっても、やっぱりかわいいです」と目を細めます。
お店をオープンした3年前は、受験生を抱えて塾の送迎をしつつ、銀座でハンドメイド作家さんを集めてポップアップショップに参加し、みんデパでは2週間に渡るイベントも……しかもご主人は単身赴任中で目が回る忙しさだったといいます。でもその頃のことを振り返る森さんはとても楽しそう。
「『まだ子どもが小さいから……』ということをみなさんおっしゃるけれど、意外とできますよ。もしかしたら家族は大変だったのかもしれないけど(笑)、娘はいっしょに楽しんでいたし、息子もマイペースにやってくれていました。みなさんよく言われていると思いますが、本当に子育ては一瞬なんです!楽しまないと損です!」
↑幼稚園の制服を着た子どもの写真を渡すとそっくりに作ってくれる羊毛フェルト作家さんの「うちの子マスコット」。亡くなったペットの依頼などの需要も広がっているそう。
「みんデパ」の活動ではイベント開催のほか、幼稚園についての情報発信も行っています。
サークルやイベントで先輩ママから直接、話を聞く機会が激減したコロナ禍……できるやり方を模索し、2020年はZoom、2021年はインスタライブで、現役の幼稚園ママの声を配信しました。「来年度は会場を借りて、リアルで開催できれば」と意気込みます。
「この仕事は儲かっているかというとトントンです。みんデパも主催者には何も残りません。それでもやっているのは、作家さんたちを盛り立てたいという想いがあるからです」と話す森さん。
もっと地域の作家さんを盛り立てていきたい——その一心で、時代のニーズに合うやり方を模索しながら、小平・花小金井から発信を続けていきます。
★ハナコラボ Instagram(@monfavori2013)
★みんなデパート事務局 Instagram(@minnadepart)