親も子も全力で楽しむ遊び場『小平こども劇場』
“劇場”と聞くと、演劇や映画、音楽を思い浮かべる人が多いと思います。
その名の通り、劇場で人形劇やコンサートを楽しむ企画もしている『小平こども劇場』ですが、ワークショップやキャンプなど幅広い活動を通じて、さまざまな体験と交流の機会を作っています。
『小平こども劇場』は子どもたちに文化体験を伝えたいという想いで、1993年に発足した団体。母体の『子ども劇場』は1966年に福岡ではじまり、現在は全国各地で地域ごとの活動を展開しています。
『小平こども劇場』を運営しているのは、活動を楽しんでいる会員たち。子育て真っ最中の人から孫と参加している人まで、幅広い世代で企画運営しています。
現在、NPO法人小平こども劇場の理事長を務める会沢祐子さん、副理事長の篠原道子さん、事務局の丸山京子さんに活動内容や、参加方法についてお話しを伺いました。
『小平こども劇場』ってどんなことをしているの?
––こども劇場と聞いて、観劇や演劇をする団体だと思っていたのですが、いろいろな活動をされているんですね。
会沢さん
劇場というのは大きくとらえて“遊び場”だと思っています。見ること・聞くことで吸収して、遊んで表現する、インプットとアウトプットがセットになっていることが大切だと思って活動しています。
丸山さん
観劇をする企画もあれば、会員さんによる遊びやワークショップの企画もあります。プロの表現に触れるのも、会員さんのやりたいことをかたちにするのもおもしろいですよ。
会沢さん
小さいお子さんの観劇は不安に思う方もいるかもしれません。こども劇場の企画は遊び体験の一貫なので、大きくリアクションをしても大丈夫。子どもがどんなふうに感じたか、まわりの大人もその反応を楽しんでいます。
––まわりの理解があるのは安心ですね。個人で行くよりも、参加しやすいかもしれません。
会沢さん
お母さんたちの手作り企画も、そのときのメンバーによって変化しておもしろいですよ。体を使ったり、歌をうたったり、本当にたくさんの企画があります。
丸山さん
それぞれの得意を持ち寄って、ワークショップを企画することもあります。時にはお母さんのほうがどろんこになって全力で遊ぶこともあるんです。
会沢さん
大人が全力で遊ぶ姿に、子どもたちも大はしゃぎ!こんなに大人が本気で遊ぶ姿、こども劇場に入るまで私も見たことがありませんでした(笑)。
––大人も楽しめる『こども劇場』なんですね。
会沢さん
遊びの企画以外にサークル活動もあるので、子どもはもちろんお母さんたちの交流も深まりますよ。
参加するにはどうしたらいいの?
––会員にならないと参加できないのでしょうか?
会沢さん
外部向けの企画もありますよ。目的や狙いを理事で話し合って、地域の子どもたちに届けたい!という企画は会員以外でも参加できるように設定しています。興味を持った企画に気軽に参加してもらえたらうれしいです。
––会員の条件はありますか?
丸山さん
赤ちゃんから大人まで参加できます。中学生までは親子で入会することが条件ですが、大人ひとりでの入会もOKです。
––大人は何か役割がありますか?
会沢さん
はじめは参加して楽しんでもらうことが一番です!いろいろな活動に参加する中で、自分も何かやってみたいと思ったら、企画側になることもできます。
丸山さん
イベントの企画だけではなく、サークルを運営をしている人もいます。やってみたいことがあれば、みんなで応援し合っています。
多世代に触れる
––『小平こども劇場』ならではの活動や交流の機会はありますか?
篠原さん
小平は大学が多いので、多世代が交流できる企画も好評です。
会沢さん
“ルネこだいら夏休みフェスタ”では人形劇やコンサートだけでなく、白梅学園大学や武蔵野美術大学の学生さんとの企画も開催しました。
篠原さん
私たちが間に入って大学生がやりたいことを、子どもたちにつなげるお手伝いをしています。
––学生さんの活動に触れる機会は子どもたちにとっても、いい経験になりますね。
篠原さん
小平にある文化や人の素晴らしさを大切にしていきたいです。つながりを絶やさないように活動していけたらいいなと思っています。
会沢さん
親元を離れて参加する子どもキャンプも私たちが大切にしている企画の一つです。高校・大学生に成長した子ども会員のメンバーが、小さい子をサポートしています。成長の過程でそれぞれ違う力を持っている人が集まって一緒に活動を創っています。
丸山さん
子どもたちで会議を開いて、いろいろなことを決めています。みんないきいきしてと楽しそうです。
––主体性が身に付きそうですね。高校・大学生のお兄さんお姉さんと活動するのは、小さな子どもにとって貴重な経験ですね。
お母さんの居場所でもある
–– みなさん自身が『小平こども劇場』に参加してよかったと思うのはどんなところですか?
会沢さん
人と人のつながりが本当に楽しくて、私自身もたくさん救われました。
子育て中、親と子だけだと煮詰まってしまうことも多いと思います。『こども劇場』にはたくさんの仲間がいるので、みんなが真剣に話を聞いてくれます。そして自分も真剣に人の話に向き合って、助け合いながら子育てしていける。仲間がいるのは本当に心強いです。
篠原さん
子どもと親という関係だけではなく、社会の一員としても活動ができることにやりがいを感じています。
丸山さん
たくさんの子どもたちの成長を感じられること。大きくなった子が手伝いに来てくれたり、子ども同士が親戚のような感覚で交流する姿は微笑ましいです。
感性とつながりを地域で育む
さまざまな活動をおこなっている『小平こども劇場』。
親ではない大人と子どもがつながって、自分以外の目線で子育てができる––
地域の中で子どもが育っていくとはこういうことなんだな、とお話しを聞いて感じました。
これからのスケジュールはホームページに、活動の報告はFacebookに詳しくアップされています。
人形劇が見たいでも、キャンプに行きたいでも、友達がほしいでも、楽しみ方は十人十色!お子さんがどんなことに興味を持つか、いろいろ試してみるのもいいかもしれませんね。
2022年10月現在、『小平こども劇場』は正会員・賛助会員あわせて約200名。入会のお問合せはメールにて受け付けています。